2026年8月14日
「突然意識を失った」「けいれんを起こした」「ぼーっとして呼びかけに反応しない時間があった」。
このような症状があると、多くの方が「てんかんではないか」と心配されます。
てんかんというと、全身が激しくけいれんする病気というイメージを持たれている方が多いかもしれません。しかし実際には、てんかん発作にはさまざまな種類があり、けいれんを伴わない発作も少なくありません。
また、てんかんは子どもの病気と思われがちですが、実際には高齢者にも多くみられる病気です。特に脳梗塞や認知症などの病気をきっかけに発症することがあり、近年では高齢化に伴って患者さんは増えています。
現在では多くの患者さんが薬によって発作をコントロールできるようになっており、適切な診断と治療によって仕事や学校生活を続けながら生活している方もたくさんいます。
今回は、てんかんについてわかりやすくご紹介します。
てんかんとはどのような病気?
てんかんとは、脳の神経細胞が一時的に過剰な電気活動を起こすことで、繰り返し発作が起こる病気です。
脳では通常、多くの神経細胞が規則正しく電気信号をやり取りしています。しかし、何らかの原因で一部の神経細胞が異常に興奮すると、その電気活動が周囲へ広がり、さまざまな症状が現れます。
この一時的な症状を「てんかん発作」と呼びます。
発作は数秒から数分程度で自然に治まることが多く、発作がないときは普段と変わらず生活できる方も少なくありません。
てんかん発作にはさまざまな種類があります
強直間代発作
最もよく知られている発作です。
突然意識を失い、
全身が硬くなる
手足がガクガクとけいれんする
泡を吹く
呼吸が止まったように見える
などの症状が起こります。
発作は通常1~3分程度で治まり、その後しばらく眠ったり、ぼんやりした状態が続いたりすることがあります。
複雑部分発作
脳の一部分だけで異常な電気活動が起こる発作です。
症状は発作が起こる部位によって異なります。
例えば、
手だけが勝手に動く
顔がピクピクする
口をもぐもぐさせる
同じ動作を繰り返す
急にぼーっとする
呼びかけに反応しなくなる
などがあります。
周囲から見ると「居眠りしている」「ぼんやりしている」ように見えることもあります。
欠神発作
主に小児に多い発作です。
数秒間だけ突然意識が途切れ、
ぼーっとする
瞬きが増える
会話が止まる
といった症状がみられます。
ほかにも様々な発作型があります。
てんかんの原因
てんかんの原因はさまざまです。
特発性てんかん
明らかな脳の異常が見つからず、体質や遺伝的要因が関係すると考えられるタイプです。
若い年代で発症することが多く、薬がよく効く場合も少なくありません。
症候性てんかん
脳の病気や障害が原因となるタイプです。
代表的な原因には、
・脳梗塞
・脳出血
・頭部外傷
・脳腫瘍
・髄膜炎・脳炎
・認知症
・脳の先天的異常
などがあります。
特に高齢者では脳梗塞後や認知症に伴うてんかんが増えています。
高齢者のてんかん
近年、非常に増えているのが高齢者てんかんです。
高齢者では、典型的な全身けいれんではなく、
・数分間ぼーっとする
・呼びかけに反応しない
・会話が止まる
・同じ動作を繰り返す
などの症状だけのこともあります。
認知症や一過性脳虚血発作と間違われることもあり、診断には脳波検査や頭部画像検査が重要になります。
てんかんはどのように診断するの?
てんかんの診断では、発作の様子を詳しく確認することが最も重要です。
実際には診察時に発作が起きていないことがほとんどであるため、
・どのような症状だったか
・どのくらい続いたか
・発作の前後の様子
・意識はあったか
・けいれんはあったか
などを詳しくお聞きします。
ご家族や周囲の方が発作を見ていた場合には、その情報が非常に重要になります。
脳波検査
てんかんの診断で重要な検査です。
頭皮に電極をつけ、脳の電気活動を記録します。
発作時だけでなく、発作がないときでも特徴的な異常波が見つかることがあります。
ただし、一度の脳波検査で異常が見つからないこともあり、必要に応じて繰り返し検査を行うことがあります。
頭部画像検査
脳梗塞、脳腫瘍、脳の萎縮など、発作の原因となる病気がないかを調べます。
高齢者では特に重要な検査です。
てんかんの治療
てんかんの治療の中心は抗てんかん薬です。
現在では多くの種類の薬があり、
・発作のタイプ
・年齢
・他の病気
・副作用
・妊娠希望の有無
などを考慮して選択します。
代表的な薬には、
・レベチラセタム
・ラモトリギン
・ラコサミド
・バルプロ酸
・カルバマゼピン
などがあります。
適切な薬を継続して服用することで、多くの患者さんで発作を抑えることができます。
薬は自己判断で中止しないことが大切です
発作がしばらく起こらないと、「治ったからもう飲まなくていいだろう」と思われる方がいます。
しかし、自己判断で薬を中止すると再び発作が起こる危険性があります。
薬を減量・中止できるかどうかは、
・発作がどのくらい起きていないか
・脳波所見
・発症年齢
・原因
などを総合的に判断して決定します。
必ず主治医と相談しながら行うことが重要です。
発作が起きたときの対応
てんかん発作を目の前で見ると驚いてしまいますが、慌てずに対応することが大切です。
行ってほしいこと
・周囲の危険物をどける
・転倒やけがを防ぐ
・時間を確認する
・発作が終わるまで見守る
・呼吸がしやすいよう横向きにする
行わないでほしいこと
・無理に押さえつける
・口に物を入れる
・水や薬を飲ませる
ほとんどの発作は数分以内に自然に治まります。
ただし、
・5分以上続く
・発作を繰り返す
・発作後も意識が戻らない
・初めての発作
・けがをした
場合には救急車を呼ぶことが必要です。
日常生活で気を付けること
発作を予防するためには、
・薬を規則正しく服用する
・睡眠不足を避ける
・過度の飲酒を控える
・ストレスをためすぎない
ことが重要です。
睡眠不足は発作を誘発しやすいため、十分な睡眠を心がけましょう。
運転について
てんかんのある方でも、一定期間発作がなく、医師が運転可能と判断した場合には運転免許の取得・更新が可能な場合があります。
一方で、発作が十分にコントロールされていない状態での運転は重大な事故につながる可能性があります。
運転については必ず主治医と相談してください。
まとめ
てんかんは、脳の神経細胞の異常な電気活動によって発作を繰り返す病気です。全身けいれんだけでなく、ぼーっとする、反応がなくなる、同じ動作を繰り返すなど、さまざまな発作があります。
現在では抗てんかん薬によって多くの患者さんで発作をコントロールできるようになっており、適切な治療を続けることで学校や仕事を続けながら生活している方もたくさんいます。
当院では、脳神経内科専門医としててんかんの診断・治療を行っています。突然の意識消失やけいれん、ぼーっとする発作、原因不明の失神などが気になる方は、お気軽にご相談ください。脳波検査や画像検査を含めて原因を詳しく調べ、一人ひとりに合った治療をご提案いたします。
当院は脳神経疾患・消化器疾患を専門とするクリニックです。生活習慣病や発熱、健診など一般内科に関しても対応しておりますのでお気軽にご相談ください。
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