2026年7月24日
「健康診断でピロリ菌を指摘された」「胃カメラで除菌を勧められた」「家族が胃がんになったので自分も心配」。
このような理由で受診される方は少なくありません。
**ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)**は胃の中にすみつく細菌で、慢性的な胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんの最大の危険因子としても知られています。
一方で、現在では検査方法や除菌治療が確立されており、適切に診断・治療を行うことで将来の胃がんリスクを減らせることが分かっています。
今回は、ピロリ菌感染についてわかりやすくご紹介します。
ピロリ菌とは?
ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌です。
胃の中には強い胃酸がありますが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を作り、胃の中の尿素を分解してアンモニアを産生することで、自分の周囲を中和しながら生きています。
通常であれば胃酸によって細菌は死滅してしまいますが、ピロリ菌はこの仕組みによって胃の中でも長期間生き続けることができます。
感染すると、多くの場合は自然に排除されることなく、何十年にもわたり胃に住み続けます。
どのように感染するの?
現在の日本では、大人になってから感染することはほとんどありません。
多くは5歳頃までの幼少期に感染すると考えられています。
昔は上下水道の整備が十分ではなかったため、井戸水や生活環境を通じて感染することが多かったとされています。
そのため、
・高齢になるほど感染率は高い
・若い世代では感染率は低い
という特徴があります。
また、家族内で感染する可能性も指摘されています。
感染するとどうなるの?
感染しても、多くの方はすぐに症状が出るわけではありません。
しかし、胃ではゆっくりと炎症が続きます。
これを慢性胃炎と呼びます。
慢性的な炎症が何十年も続くことで、
・胃・十二指腸潰瘍
・萎縮性胃炎
・胃がん
・胃MALTリンパ腫
などを発症しやすくなります。
つまり、ピロリ菌感染は「症状がないから大丈夫」という病気ではありません。
ピロリ菌と胃がんの関係
現在では、ピロリ菌は胃がんの最大の危険因子であることが明らかになっています。
感染すると胃に慢性的な炎症が起こります。
その炎症が長期間続くことで、
正常な胃粘膜
↓
慢性胃炎
↓
萎縮性胃炎
↓
腸上皮化生
↓
胃がん
という経過をたどることがあります。
もちろん、感染した方全員が胃がんになるわけではありません。
しかし、感染していない方と比べると胃がんになる危険性は高くなることが知られています。
そのため、感染が確認された場合には除菌治療が勧められます。
どんな症状が出るの?
実は、ピロリ菌に感染していても全く症状がない方が多くいます。
一方で、
・胃もたれ
・胃痛
・胸やけ
・吐き気
・食欲低下
などを伴うこともあります。
しかし、これらの症状だけでピロリ菌感染と診断することはできません。
胃炎や胃潰瘍、胃がんなどでも同じような症状が出るため、詳しい検査が必要になります。
どのように検査するの?
ピロリ菌の検査にはいくつかの方法があります。
胃カメラを利用した検査
胃カメラでは、
・胃炎の程度
・萎縮の有無
・潰瘍
・胃がん
などを確認できます。
さらに胃粘膜を採取して、迅速ウレアーゼ試験を行うこともあります。
胃カメラは感染の有無だけでなく、胃の状態を詳しく確認できることが大きなメリットです。
胃カメラを使わない検査
身体への負担が少ない検査として、
・尿素呼気試験(除菌判定)
・血液検査(抗体検査)
がありますが基本的には胃カメラでの観察が基本となるので検査希望の方は一度医師にご相談ください。
除菌治療とは?
ピロリ菌は抗菌薬を用いて除菌します。
一般的には、
・胃酸を抑える薬
・抗菌薬2種類
の合計3種類を7日間服用します。
これを一次除菌と呼びます。
一次除菌で成功しなかった場合には、抗菌薬を変更して二次除菌を行います。
現在では多くの患者さんで除菌に成功します。
除菌すると胃がんにならない?
除菌を行うことで胃がんのリスクは低下することが分かっています。
しかし、ゼロになるわけではありません。
特に、
・萎縮性胃炎
・腸上皮化生
まで進んでいる場合には、除菌後も胃がんが発生することがあります。
そのため、除菌後も定期的な胃カメラが勧められることがあります。
保険診療で除菌できる?
現在、日本では
胃カメラでピロリ菌感染胃炎と診断された場合
には保険診療で除菌治療を受けることができます。
そのため、まずは胃カメラで胃の状態を確認することが大切です。
日常生活で気を付けること
ピロリ菌感染そのものは食事で改善する病気ではありません。
しかし、
・禁煙
・塩分を控えめにする
・バランスの良い食事
・野菜や果物を十分に摂る
・定期的な胃カメラ
などは胃がん予防にもつながると考えられています。
また、胃の不調が続く場合には、市販薬だけで様子を見るのではなく、一度医療機関を受診することをおすすめします。
胃カメラをおすすめしたい方
次のような方は、一度胃カメラによる検査をご検討ください。
・健康診断でピロリ菌を指摘された
・家族に胃がんの方がいる
・胃もたれや胃痛が続いている
・胸やけや胃の不快感がある
・過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
・一度も胃カメラを受けたことがない
胃カメラでは、ピロリ菌感染だけでなく、胃がんや胃潰瘍などさまざまな病気を早期に発見できる可能性があります。
まとめ
ピロリ菌は胃に長期間感染する細菌で、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんの最大の危険因子として知られています。感染していても自覚症状がないことが多いため、健康診断や胃カメラで初めて見つかる方も少なくありません。
現在では、検査方法や除菌治療が確立されており、多くの方で除菌が可能です。また、除菌を行うことで胃がんのリスクを減らすことが期待できます。ただし、除菌後も胃の状態によっては定期的な胃カメラによる経過観察が必要になることがあります。
当院では、胃カメラによるピロリ菌感染の診断から除菌治療、除菌後の判定、胃がん予防のための定期検査まで一貫して対応しています。胃の症状が気になる方や、健康診断でピロリ菌を指摘された方、ご家族に胃がんの既往がある方は、お気軽にご相談ください。早めの検査と適切な治療が、将来の胃の健康を守る第一歩となります。
当院は脳神経疾患・消化器疾患を専門とするクリニックです。生活習慣病や発熱、健診など一般内科に関しても対応しておりますのでお気軽にご相談ください。
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