2026年10月09日
~原因を知り、生活習慣を見直すことが大切です~
健康診断や血液検査、腹部エコーなどで「脂肪肝があります」と言われたことはありませんか?
脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰にたまった状態です。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、脂肪肝になっても自覚症状がほとんどないことがあります。
そのため、「症状がないから大丈夫」と思ってしまいがちですが、脂肪肝の中には、時間の経過とともに肝臓の炎症や線維化が進み、肝硬変や肝がんにつながるものがあります。
一方で、早い段階から生活習慣を見直すことで、肝臓の状態を改善できる場合もあります。
今回は、脂肪肝の原因や種類、検査、治療、日常生活で気をつけたいことについて、できるだけわかりやすくご紹介します。
脂肪肝とはどのような病気?
脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪などの脂肪が過剰に蓄積した状態です。
健康な肝臓にもある程度の脂肪は存在しますが、脂肪が多くなりすぎると「脂肪肝」と呼ばれます。
脂肪肝の大きな特徴は、初期には症状がほとんどないことです。
「疲れやすい」「身体がだるい」と感じることがあっても、脂肪肝が原因とは限らず、症状だけから脂肪肝に気づくことは難しい場合があります。
そのため、健康診断などで肝機能の異常を指摘されたことをきっかけに見つかることが少なくありません。
脂肪肝には大きく2つのタイプがあります
脂肪肝の原因として、特に重要なのが「アルコール」と「生活習慣」です。
大きく分けると、
① お酒の飲みすぎなどが原因となるアルコール関連の脂肪肝
② 飲酒量が少ない、または飲酒しない方にも起こる脂肪肝
があります。
特に近年では、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病と関連した脂肪肝が増えています。
お酒をあまり飲まない方でも脂肪肝になることがあるため、「お酒を飲まないから脂肪肝にはならない」というわけではありません。
なぜ脂肪肝になるのでしょうか?
脂肪肝の原因は一つではありません。
代表的な原因として、
① 肥満や体重増加
② 食べ過ぎ
③ 運動不足
④ 糖尿病
⑤ 脂質異常症
⑥ お酒の飲みすぎ
⑦ 一部の薬剤
などがあります。
特に、食事から摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回る状態が続くと、余ったエネルギーが脂肪として蓄積され、肝臓にも脂肪がたまりやすくなります。
一見すると痩せている方でも、筋肉量が少なく内臓脂肪が多い場合などには脂肪肝がみられることがあります。
脂肪肝は放置しても大丈夫?
すべての脂肪肝が進行するわけではありません。
しかし、一部では肝臓に炎症が起こり、肝臓の線維化が徐々に進むことがあります。
肝臓の線維化とは、肝臓が慢性的な炎症などによって硬くなっていく状態です。
線維化が進行すると、
「肝線維化 → 肝硬変」
へと進むことがあります。
さらに、肝硬変まで進行すると、肝がんのリスクも高くなります。
そのため、脂肪肝と指摘された場合には、「ただ脂肪がついているだけ」と考えず、肝臓の状態を確認することが大切です。
脂肪肝でも肝臓に炎症が起こることがあります
脂肪肝の中には、単に脂肪がたまっているだけではなく、肝臓に炎症が起こっている状態があります。
近年では、飲酒量が多くない方にみられる脂肪性肝疾患について、代謝異常との関連を重視した考え方が広がっています。
特に、
① 肥満
② 糖尿病
③ 高血圧
④ 脂質異常症
などを合併している方では、肝臓の状態を定期的に確認することが重要です。
脂肪肝ではどのような検査をする?
脂肪肝の検査では、血液検査や腹部超音波検査などを行います。
① 血液検査
健康診断などで、
「ASTが高い」
「ALTが高い」
「γ-GTPが高い」
などと指摘されることがあります。
これらは肝臓の状態を確認するための重要な検査項目です。
ただし、脂肪肝があっても肝機能の数値が正常なことがあります。
そのため、血液検査の数値が正常だからといって、必ずしも脂肪肝がないとは限りません。
② 腹部超音波検査
腹部超音波検査では、肝臓に脂肪がたまっているかどうかを確認することができます。
脂肪肝では、肝臓が通常より白く見えるなどの特徴があります。
身体への負担が少なく、繰り返し検査しやすいことも特徴です。
脂肪肝の治療で最も大切なのは生活習慣の改善
脂肪肝の治療では、生活習慣の見直しが基本となります。
特に重要なのが、
① 体重を適正な範囲に近づける
② 食事内容を見直す
③ 運動習慣をつくる
④ 飲酒量を見直す
ことです。
急激に体重を落とす必要はありません。
無理なダイエットではなく、継続できる方法で少しずつ改善していくことが大切です。
食事では何に気をつければよい?
脂肪肝の改善には、食べる量だけでなく、食事の内容も重要です。
例えば、
① ご飯やパン、麺類などの炭水化物を食べ過ぎない
② 揚げ物や脂肪の多い食品を控える
③ 野菜や食物繊維を意識してとる
④ 魚や大豆製品などの良質なたんぱく質を取り入れる
⑤ 甘い飲み物やお菓子をとりすぎない
などを意識するとよいでしょう。
特に、砂糖を多く含む清涼飲料水やジュースなどを日常的に飲んでいる場合には、量を減らすことが改善につながることがあります。
「何を食べてはいけない」というよりも、食事全体のバランスを整えることが大切です。
運動も脂肪肝の改善につながります
脂肪肝の改善には、運動も重要です。
ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、筋力トレーニングなどを組み合わせることもおすすめです。
例えば、
① できるだけ歩く時間を増やす
② エレベーターではなく階段を使う
③ 週に数回、ウォーキングを行う
④ 無理のない範囲で筋力トレーニングを行う
など、日常生活の中で続けられる方法を取り入れてみましょう。
運動は体重を減らすだけでなく、血糖値や脂質などの改善にもつながります。
お酒を飲む方は飲酒量にも注意しましょう
飲酒習慣がある方では、飲酒量を見直すことも重要です。
「毎日少量だから大丈夫」とは限りません。
飲酒量や飲酒頻度、肝臓の状態などによって対応は異なります。
脂肪肝や肝機能異常を指摘された場合には、一度飲酒習慣についても見直してみましょう。
肝臓の状態によっては、禁酒や節酒が必要になる場合があります。
脂肪肝は生活習慣病とも深く関係しています
脂肪肝は肝臓だけの問題ではありません。
肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などと一緒にみられることが多く、全身の代謝状態とも深く関係しています。
そのため、脂肪肝が見つかった場合には、
① 血糖値
② HbA1c
③ コレステロールや中性脂肪
④ 血圧
⑤ 体重や腹囲
などについても確認することが大切です。
肝臓だけを見るのではなく、全身の生活習慣病を一緒に管理していくことが重要です。
脂肪肝は「痩せれば治る」とは限りません
脂肪肝では体重を減らすことが重要ですが、単純に「体重だけを落とせばよい」というわけではありません。
極端な食事制限をすると、筋肉量が減ってしまったり、栄養バランスが崩れたりすることがあります。
そのため、
「無理なく続けられる食事」
「適度な運動」
「十分な睡眠」
などを組み合わせ、健康的な生活習慣を身につけることが大切です。
脂肪肝を指摘されたらどうすればよい?
健康診断などで脂肪肝を指摘された場合には、まず自分の生活習慣を振り返ってみましょう。
① 体重が以前より増えていないか
② 運動不足になっていないか
③ 甘いものや炭水化物を食べ過ぎていないか
④ 揚げ物や脂っこい食事が多くないか
⑤ お酒を飲む量が増えていないか
⑥ 糖尿病や脂質異常症などを指摘されていないか
こうした点を確認することが、生活習慣を見直すきっかけになります。
また、肝機能異常を指摘されている場合や、脂肪肝が強い場合には、医療機関で一度詳しく調べることをおすすめします。
このような場合は一度ご相談ください
次のような場合には、医療機関で相談しましょう。
① 健康診断でAST、ALT、γ-GTPなどの異常を指摘された
② 腹部エコーで脂肪肝と言われた
③ 肥満や体重増加がある
④ 糖尿病や脂質異常症がある
⑤ お酒を飲む量が多い
⑥ 肝機能異常が何度も続いている
⑦ 肝臓の病気が心配
脂肪肝は自覚症状がないことも多いため、検査で異常を指摘された場合には、そのままにせず一度状態を確認することが大切です。
まとめ
脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰にたまった状態です。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、一部では肝臓の炎症や線維化が進行し、将来的に肝硬変や肝がんにつながる可能性があります。
脂肪肝の改善では、
① バランスのよい食事を心がける
② 適度な運動を続ける
③ 体重を適正な範囲に近づける
④ 飲酒量を見直す
⑤ 糖尿病や脂質異常症などを適切に管理する
ことが大切です。
「健康診断で肝機能が高いと言われた」「脂肪肝と指摘されたけれど症状がないから放置している」という方は、一度医療機関で相談してみましょう。
早い段階から生活習慣を見直し、定期的に肝臓の状態を確認することで、将来の肝臓病を予防することにつながります。
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